今日はとってもうれしいことがありました。
長年顧問をさせていただいている会社の社長さんが会長さんになって,社長に就任した息子さんともども事務所をおたずねいただきました。しばし歓談。会長と昔,一緒になんども裁判所に通ったときの思い出話に花を咲かせました。小さな額の売掛金回収の裁判だったけれど,少額だから無視しても大丈夫とタカをくくる取引相手の不誠実さに,「どうしてもおかしい。これで黙っていたら,一生懸命営業した従業員が可哀想じゃないですかっ」て,訴えを起こしたものの,紆余曲折。肝を冷やしながらも,やっぱり勝てたのでした。
それからずっとその会社の顧問弁護士に。
清々と経営する社長だから事件なんか起きるわけがない。ほんのときどき相談に応じる程度でした。

弁護士の喜びはなんといっても,こうして長く続く信頼を受けることなのです。
法律問題に対する弁護士の回答内容は,顧問であるがスポットであろうが,変わらないのが原則です。
でも,弁護士が正しい回答をするには,法律の知識もさることながら,法律問題の解決に必要な「事実を把握する」ことと,反論に対するこちらの主張の力,証拠の力を正確に把握することが大事なのです。
顧問を長く続け,会社の業務の在り方,流れ,問題点を把握し続けることは,こうした力を蓄積する上でとても役立つのです。
弁護士は長く信頼してもらえることがなぜ嬉しいのか。
それは,長年にわたり会社を見守り続け,こうした力を不断に涵養しつづけたことを評価してもらえたことへの感謝と喜びであって,ただ親交が長くつづいたことの喜びとは別格の嬉しさなのです。