契約書の解釈を巡る紛争はよくあることだ。
特にシステム開発請負契約などでは,仕事の内容を特定することが大問題。
最近こういう文案に接した。
「本契約の解釈に甲乙間の相違があるときは,甲の解釈を優先する」
感心した。
まず,この文言を考えた人の経験の豊富さ。過去によほど痛い目にあったにちがいない。
しかし経験を蓄積し,契約書に生かすという知恵は素晴らしい。皮肉ではない。心底そう思う。
ところでこの文言の効果はどうか。文字通り全てに甲の解釈を優先できるのか?
争いになったときは,おそらく,「合理的な範囲において」という限度で有効ということになるだろう。
契約の本質は合意だ。だから,こうした文言が有効な範囲は,契約の経緯,利害の公平などを考慮して,当事者の合理的な合意の内容がまず最優先されることになるだろう。その限度で,この規定は有効だろう。
とはいえ,当事者の合意の解釈をめぐる指針」という)意味では評価してよい規定だと思う。
たしかにこの文言からは,ユーザー側の強引さが伝わってくる。
しかし,契約内容は,終局的には力関係で決まるのだ。