2016年1月27日,東京都交響楽団の第801回定期演奏会Bシリーズ(サントリーホール)で,素晴らしい体験をした。

pppと沈黙の時間が本当に美しい素敵な演奏会だった。

指揮はアラン・ギルバート氏,コンサートミストレスは四方恭子さん。

演目は  武満徹 トウイル・バイ・トワイライト
     シベリウス 交響詩 エン・サガ(伝説)
           ワーグナー(ギルバート氏編) 指環の旅~楽劇「ニーベルグの指環」より

まず全ての曲を通じて,そのpppが本当に美しい。

例えば,ティンパニ奏者が,堅めのバチでティンパニ付シンバルをpppで奏でると,その上にヴァイオリンが,更に小さな擦過音ともいうべき枯れた音を乗せる。それが素晴らしい囁きになって聞こえる。

また,ヴァイオリンのpppのメロディーは,「さあ抱かれよ」というほどに暖かい。
聴いていて,まるでオケの懐に抱きこまれたような,大きな包容力を感じた。
オケと聴衆が一体になったと感じさせるpppなのだ。

次に,指揮者とオケと聴衆が作り出す沈黙も,また素晴らしい。

曲が終わり,最後の音符を演じ終えた後も指揮者の腕は降りない。

観客は固唾を呑んで腕が降りるまで指揮者を注視し,沈黙の時間を,オケ,ホールとともに味わった。


もう一つ。
ワーグナーのトライアングルは素晴らしかった。その音色は多彩で,グルーヴも素晴らしく,熱演だった。
トライアングルは小さな楽器だけれど,大編成オケに光と色彩を与えていた。

素晴らしいコンサートであった。