電力改革の意義には様々な意義があるが,法的な視点から見ると,以下の二つが際立っているように思われる。

 第一は,「低圧の小口使用者でも,発電,送電,小売の全てのプロセスに影響を及ぼし得る地位を獲得した」ということである。

 改革前,電力の使用者が,電力制度のあり方に影響を及ぼすことは制度的に想定されていなかった。
 
 今回の改革で,需要者は,小売取引を通じて,電源の選択,発電所建設の促進,付加サービスの選択が可能になった。スマートメータが普及すると,電力使用情報を用いた新たなプログラム創出,家電機器,Iotを利用した暮らや事業の変化が促進されるであろう。


 第二は,電力が供給者から需要者に届けられる関係から,電力が,小売事業者から客に販売される関係に変化したことである。供給・需要という関係が,小売に変化したことでもある。

 改革前,電気の使用者,つまり客は,一般電気事業者から電力の供給を受ける需用者に過ぎなかった。

 しかし,今回の改革により,小売事業者の持つ機能,意味が,今やっと把握されようとしている。
 それは,単に商材を届けることではなく,それを媒介にした,客の暮らしを豊かにすること,客や社会にとっての価値を実現することなのだ。小売事業者も客も,この価値はなにか,それをどう把握するかが問われている。

 電力システムを,需用者と供給者,そして国がともに作る時代を迎えようとしている。

 器は作った。何を盛るか,どう食べるかは,事業者と需用者,いや小売事業者と客の主体的決断と行動に委ねられている。