瑕疵担保の期間をどう定めるかは一つの問題だ。

民法637条は、請負契約の瑕疵担保の期間を1年と定めている(637条)。
この期間は除斥期間と考えられており、時効期間のように中断がないから、請求やベンダーが承認したからといって、伸びることはない。

そこで大切になるのは、この期間の始期をどう定めるかだ。


「引渡」を「納品」とする例は多い。納入した成果物が、検収に通って、納品となるから、検収を受けた時からということにする例だ。ヴァリエーションとしては、検収書の交付を受けてからというものもある。

しかし、実務では、まず、ユーザー検収拒否を想定した場合、これでいいのか?ということになる。ベンダは検収拒否に合うと、ずっと完成義務や瑕疵担保責任に付き合わされる。要員は確保しておけないから、極めて困難な状況を生じる。逆に、ユーザーは、完成義務や瑕疵担保を長期に主張できることになり、安心しがちだが、ベンダーから、契約で定めた期間は検収拒否の場合まで想定したものではないと主張されることにもなる。

逆に、検収書は出されたが、その検収書が、適切な検収を経ずに、形式的に出されたような場合、ユーザー側は、やっと完成して引渡を受けたが障害が生じて瑕疵担保を主張したが、基幹系を主張されて紛議になるケースがあり、その時は、検収書はあるが検収の実体がなかったことを主帳立証することになる。

そこで瑕疵担保責任の起算点を、「基本契約との不一致を知ったとき」とすることが考えられる。こうすると、実体のない検収を理由とするトラブルを回避することが可能になる。