日比谷の街角 弁護士 稲垣隆一 稲垣隆一法律事務所

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住宅取引・欠陥住宅

小学校の同窓会 永遠の青春を維持する秘訣

小学校のクラス会に出席した。

「○○ちゃん」,「なんとか君」と呼び合えるのはいまやこの時間だけになってしまったから,とっても貴重な時間だ。

集ってるのは昭和28年生まれのオッサンとおばさんだから,話は孫のことと身体のこと。
社会的地位とか仕事自慢なんぞ語られない。それが人生に本質的なものでないことがよくわかる。
すでに大病や入院を経た強者もちらほらいて,心強いけれど,近未来の見本市みたいでもある。

当時の担任のK先生も参加してくださって嬉しい。
つくづく教育者って偉いと思った。

もはや85才になる先生曰わく
「僕は君らにまだ負けないぞ。」
「君たち。目標を持ってそれに向かって精一杯の努力をする。人生悔いなしという生き方をしているか?」
「具体的な目標を決めて実現にむけて努力する。それが君たちの青春だったろう。目標と実現するための努力を続けられれば永遠に青春だ。一方でも失えば,たちまち老いるぞ。どうだ,君たち。僕に負けてないか?」

相変わらず厳しいけど,心に染みた。
先生は,いつまでたっても先生。つくづく有り難かった。






建売を買うとき トラブル防止策 契約前にすること

建売住宅やマンションを購入するときに,あとあと後悔しないためのアドバイス。
購入の流れを踏まえて何を注意すればいいか。
15年ほどの間に数多くの欠陥住宅のトラブルを扱ってきた経験と,私自身が建売を買った経験からおさらいしよう。

一番大事なことは,重要事項説明を受ける段階ではもう遅い。ということを知らなければならないということだ。

なぜか。

第一に,重要事項説明を受けるのは契約当日であって,そこであれこれと質問したり,説明をきいてやめておきますという流れは現実にはありえないからだ。ネットで,重要事項説明のポイントをあれこれ知ったところで,契約の流れを踏まえると,そんなことを知っても実際には意味はないのだ。

どういうことか説明しよう。

重要事項説明は,契約の日に行われる。20ー30坪の建売でも,仲介業者が,およそ1時間ほどかけて,重要事項説明書を読み上げ,説明を受ける。ひどい業者だと,20分くらいでさらっと説明するケースもあると聞く。
重要事項説明は,土地の権利関係,建物の構造,契約の内容などが主だが,この説明を,延々聞かされて,終わると,「はいローン条項付の契約書に署名してください,手付け金を渡して下さい。」となる。

ここまで書けば賢い読者はもうおわかりだと思うけれど,重要事項説明をその場で受けて,あれこれ質問するなどということはよほど気合の入った買い主でなければあり得ない。買い主は,すでに,この物件を買うことを決めている。だから,はやく終わってくださいよおと思いながら,説明を聞き,即契約だ。

つまり,契約の流れからすると,実際には,重要事項説明を受けて,やっぱりそれならやめておきますということにはならないのだ。重要事項説明は,買い主にリスクを知らしめてトラブルを防止するということがもくてきだとや言うものの,実際には,説明を受けてその場で契約をしないという手段を講じることが困難である以上,重要事項説明は,買い主を保護するものではなく,仲介業者の免責のためのものになっているというのが実情なのだ。

第二に,重要事項説明は,説明に過ぎないということだ。
大事なのは,説明ではなく,土地の権利関係に問題はないか,土地利用に制約はないか,建物はきちんとしているかということだ。それを,仲介業者から,大丈夫ですよと説明をうけても,殆ど意味はない。
大事なことは,説明ではなくて,土地と建物が,買い主が考えるものであることを確かめることだ。

ではどうしたらいいか。

まず,物件が気にいったら,次のことを行う。
1 土地の登記簿(分筆して数軒建てて売るという場合は,分筆前のものと分筆後の謄本),測量図,公図,地歴図,上下水道図,建物の設計図書の写しをもらう。地歴図は区役所で見てもいい。
なお地盤調査書もあればもらう。土地の性質は建築基準法に規制がない。
基準法は土地に適合する基礎を作るということを定めているだけだ。
だから,地盤自体の不良を争うことは難しい。
「土地はもとにもどる」と言われるように,昔冠水した土地はまた冠水する危険がある。
基礎の地盤への不適合は争えるけれど,大事になる。
図面だけでなく,実際に購入する土地の周囲を回ってみて,洪水のあとはないかとか,周囲の家で地盤沈下の被害があったことはなかったか,雨のときの水はけはどうかなどをチェックする。
 
建物の設計図書も出してもらう。
確認申請用の図書は最低限で,その他仕様書,基礎図,構造図(平面図,立面図,意匠図,建具図,設備図などがあるのかないのか,あるなら写しをもらう。
建売業者が販売価格を決めるには,これらの図面作りの過程で,必要な予算をはじくわけで,これらの図面は必ずある。
図面がなくとも,販売業者の側でその物件の予算をはじくために使った仕様書があるはずだ。

木造3階建で,認定工法でなければ,構造計算書の写しももらう。
契約前の人にわたすのは・・・と拒まれたら,守秘契約をするから,とか,借り受けるだけでも,と提案して交渉する。
  
それでも,だめなら,区役所で地歴図,水道局で上下水道図,法務局で公図,登記簿を手に入れる。

でも,提出を拒む仲介業者はやめたほうがいい。

建築後の建売を買うときは,施工後の状態を示す施工図ほしいところだけれど,作られていないことも多いだろう。
  
土地の権利関係は登記簿謄本,基礎が地盤に適合しているかは,地歴図,地盤調査書,基礎図で見る。
建物の構造がきちんとしているかは,構造計算書や構造図で見る。

重要事項説明書ができていればその写しももらう。契約の前に重要事項説明書を事前に読んで検討しておきたいと言えば良心的な業者は出してくれるはずだ。

2 これらの図面をもって,権利関係は弁護士,建物については一級建築士に相談する。
検討してもらうためにはある程度のj時間を見た方がいい。
  
3 建物建築に際しての,監理(管理ではない)報告書をもらう。
これから建てるというケースでは,建てられた後,これをもらえるかどうかを確認する。

監理報告書は,現実の建物について建築士の責任で建物が設計図書どおりに建てられていることを確認した図書だ。
これは建売業者自身が下請の建築業者にまかせて建てたたてものが,発注通りかどうかを確認するために必要なはずだから,きちんとした業者なら,これもあるはずだ。
フラット35や35S適応とか相当いっても,十分な検査が行われることの保証はない。

監理報告書がない建物は,設計図書どおりに建てられていることを確認した証拠がないということなのだ。
売り主が自分で確認したというのであれば,売り主を信頼するしかないということになる。
 
どうだろう。すこし大げさだと思われるだろうか。
 
でも,ちょっと考えて欲しい。
建売を買うということは,土地と建物を買うということだ。
毎日の食材の買い物を思い出してほしい,どこの産か,生きは良いか,賞味期限は,添加物は,とみるはずだ。数百円,数千円の食材ですら,取引の対象について,きちんと由来と内容をみるのに,何千万もの土地,建物を買うときに,購入する対象がどういうものかを真剣に見ないとすれば,「抜けた消費者」だ。
上に書いた資料を求め,調査をするということは,あなたが,きちんとした買い主であることを示すということであって,仲介業者や売り主をを疑うということではない。
もしあなたが,きちんとした売り主だとしたら,抜けた消費者より,きちんとした買い主との取引,猜疑より信頼を喜ぶに違いない。

信頼しようとして資料を求めるきちんとした買い主を理解せず,うるさい,面倒な買い主と思う業者はそれだけで問題だ。

そして最後に。
もし,これから建物を建てるというケースで,契約してしまったときは,現場に出向いて,建築にあたっている業者となるべく多く話すことをお勧めする。許しを得て現場の掃除を一緒にするというのも良いだろう。良心的な職人なら,自分の仕事を楽しみにしてくれる買い主の顔が見えれば,心をこめて仕事をしてくれるに違いない。

    



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