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バロックティンパニのレッスン

村本寛太郎先生のミサ曲ロ短調に聞くティンパニの役割

村本寛太郎師のバロックティンパニの演奏を,6月20日,東京マリアカテドラルで催された日独友好バッハカンターテンコーア創立5周年記念演奏会のJ.S.Bach のミサ曲ロ短調で聞いた。

師が使用するバロックティンパニはイギリスのHENRY POTTER

師匠は,ブリュッヘンが率いる18世紀オケの打楽器奏者であるマールテン・ファン・デル・ファルクに師事しているから,ティンパニも,マールテン氏と同じHENRY POTTER。
マレットも,マールテン氏がこの間来日したときに持ってきてくれたもの。

それでどうなったか?目から鱗の2時間であった。

まず,気づかされたのは,ティンパニの多彩な音色。HENRY POTTERから,多彩な音色が,本当にとめどなく,次からつぎへと送り出される。しかも,バチさばきは論理的で合理的。全く無駄がない。

ティンパニから出てくるのは打音というより,音色,それも旋律をもった唄だ。
ティンパニが,合唱と合奏を,シャンと立たせて,印影をつけ,整列させて前に進める。
ティンパニは2個しかないのに,旋律を奏でる合唱や合奏が,2つのティンパニと渾然一体となって高らかに歌出す。

音色をもった唄うティンパニ。これか。これがグルーブというものなのか!
先日のレッスンで,村本師が言っていた「拍のうえにリズム感があり,その上にグルーブがあると思うんです。」
とはこれなんだ。

ティンパニが出ると,合唱も,オケも,動き出す。
それも機械的,論理的なものではなく,有機物として命を吹き込まれた複雑な動きが始まる。

こんな風に唄うティンパニが叩けるようになりたい。
どうしたらいいか考えた。

とりあえず到達した仮説はこうだ。

ティンパニは打楽器。だから,打音で機能させる。というのはきっと誤りなのだ。
打音で捉えると,ある時点の音で捉えるから,音楽を止めてしまう。

むしろ,フレーズの到達点までをひとかたまりで捉えて,フレーズを歌と同じように呼吸する。
そして,フレーズのどこにどのような音色と音量の音のつながりを,どういうテンポで置くのかを,グルーブを感じながら設計する。

その設計を頭にたたき込む。
メロディーラインと通奏低音を聞く。
その流れにそって叩き
改善する。

これがティンパニPDCAだ。

ロ短調ミサの演奏全体はすばらしかった。
抑制の効いた正確な弦。
2連のオーボエダモーレは甘く切ない。
フルートは,本当に優しい息づかいを伝えていた。
ピッコロトランペットはまさに天使のラッパ。輝かしくて神の栄光を表すに本当にふさわしい好演だった。

多くを教えられた素晴らしい演奏会だった。




腹式呼吸

村本寛太郎先生のレッスンは理論的で明快。だからなぜそう叩くのか納得できるし応用も可能だ。

子供のころは,「こうしなさい」と言われれば,「お返事はハイ」ですんだけれど
オッサンになると理屈で説得された方が身体に入る。年というより職業病かもね。

レッスンも少し進んで,呼吸と叩きを合わせるというテーマにまでたどり着いた。
腹式呼吸。横隔膜で肺を下に引っ張る。引っ張ったら吐く息は吹き上げるように。
息を食べるように。
演奏と呼吸がきちんと合うと,スー,ハーなんて音がしなくなる。そこまで修行せよ。とのこと。

なぜ腹式呼吸か。
おそらくそれは,腹式呼吸が自律神経と関係しているからではないかと思う。
坐禅やヨガの呼吸や,健康法が腹式呼吸なのも,そのためではないか?こじつけか。

たしかに腹式呼吸をしながら叩くと,身体の動きが自由で安定したフォームで叩けるように感じる。
また,他のパートを聞きながら,リズムとフレーズの動きを感じて歌うように叩く。
そのためには,冷静さを失わない精神の力が必要だ。
というわけで腹式呼吸。



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