4月から始まる電力小売の自由化にむけて,小売登録を終えた各社が,いよいよメニューを出し始めた。

60年ぶりの大改革。それも,あまた全ての人々になくてはならない電力の取引に関する改革だ。
しかも,今後ガスの改革も一つの流れに統合される。

変化は,発電,送電,小売という電力そのものを扱うコア分野のみならず,これを支える,発送電の部材,施設,建設事業者,システム,スマートメータ,セキュリティなどのベンダ,監査,認証ビジネス,HEMSなどのEMS関連事業者など,広い分野に及ぶだろう。こうした産業分野の国際競争力強化も目的とし,産業政策としても貪欲な改革であってほしい。

留意すべきは足許だろう。60年ぶりの改革・・・ということは,改革を進める国も,改革を担う電気事業者も,そして,電気の使用者も,誰も経験したことのない改革が始まるのだ。

改革の対象は,電力制度にとどまらず,改革を担う国,電気事業者自身の風土,電気の使用者自身の考え方にも及んでほしい。電気事業法の,「需要」,「供給」,「使用」という概念は,総括原価方式を支えた思想を引きずっていないか。経済原則と自由意思に支えられる取引改革にふさわしいのだろうか。

この改革は,我が国で活動する組織,人々全ての電気使用者の小売取引の改革だ。

ということは,小売事業者と消費者が,60年ぶりに,国家規模の消費行動を新たに改革できる絶好のチャンスでもある。

小売事業者も消費者も,制度設計を担う官僚にとっても未体験の改革。今までの総括原価のもとでの電力取引の軛から逃れ,自由で公平で,民主的な電力取引の仕組みを作る新たな取り組みにチャレンジしてほしい。

電力取引規制等委員会に弁護士委員として参加している。まさに,この改革が自由で公平で民主的であることがつくづく大切であると思う。

枠組みはできた。優美で逞しく育つのはこれからだ。小売分野での競争の成果を,一人一人の電気使用者が確実に享受できるように必要な基盤,情報,支援の仕組みを整え,実質的な競争が確保されるようにと願う。

面倒だから,今までどおりで良いなどという状況は,自立した選択の結果といえるのか?決して改革による競争の成果と見るべきではない。

いよいよ,小売事業者が様々な商品に改革の夢を託して産声を上げはじめた。この改革が,一般電気事業者の価格よりいくら安いか,ポイント,付随サービスがついて更に安い。などという「安値」競争に終わるとしたら,勿体ないというべきだ。

消費者も,自立し,連携して,電気事業者とともに,望ましい商品作りに取り組み,の自立,独立した取り組み,自治体や組織と連携する取り組みをはじめることだろう。

マスコミにも,こうした取り組みを支え,遅ればせながら始まったこの国の電力改革が21世紀にふさわしいものとなるように支えて欲しいと願う。